コーヒー の はなし

 ベトナムのカフェに入ってコーヒーを頼んでもすぐには飲むことは出来ません。ウェイトレスがコンデンス ミルクの入ったカップとお湯と右 のようなアルミのドリッパーを置いていくので自分でコーヒーを入れることになります。 お湯を入れ気長に待ちます。そうですねぇ10分ぐらい。ベトナムではコンデンスミルク(練乳)で飲むのが定番です。 と言うのもストレートで飲んだら、いささか泥臭さがキツい、と言うか「苦い」のです。初めて飲んだ時はコンデンスミルク入り? と思いましたが、結構くせになります。 缶コーヒーの味といった感じ。ベトナムコーヒーはロブスタ種というコーヒー豆を使っています。泥臭さ・苦み がロブスタ種の特徴のようです。

 コーヒー(コーヒーノキ)の種類はざっくり言ってこの「ロブスタ種」と「アラビカ種」の2種類です。 (その他アラビカ種の亜種みたいなのが沢山あるらしい) 日本でカフェに入って飲むストレートコーヒーはアラビカ種がメイン。モカとかブルーマウンテンなどは アラビカ種です。アラビカ種は香りがあってほどよい酸味と甘みが特徴。ですが、栽培は高地に限られ、病害虫に弱くて気温の影響も受けやすい らしく栽培するのが難しい品種のようです。一方ロブスタ種はカフェインが多く、苦みが特徴です。しかし 病害虫に強くて低地でも栽培が可能。また、飲む時も豆が少量でもよく抽出される(濃くなる)ので経済的です。従って、価格も アラビカ種と比べるとグッと安価だとの事。缶コーヒーやインスタンスコーヒー、水出しコーヒーバッグなどに良く使われているようです。 またアラビカ種に安いロブスタ種を少し入れてブレンドする事があるらしい。(安いからだけではなく苦みとかコクのバランスを良くする のかもしれない)

そこでコーヒーについてちょっと調べてみました。 データは、 ICO(International Coffee Organizatio)全日本コーヒー協会のものを使わさせていただきました。 AGFさんのページも参考になりました。



ICOのデータをグラフにしてみました。(ICOはコーヒー取引の元締めみたいなところで日々の価格Indicator を発表しています)コーヒー価格も気象変動や在庫などの影響で随分価格の動きが激しいのが分かります。 赤のRobustas(ロブスタ種)以外はアラビカ種です。右のグラフはBrazilian Naturals(ナチュラルというのは精選方法らしい?) の価格を100とした場合の指数を表しています。ロブスタ種はブラジルと比べるとおおよそ4割ぐらい安いのが分かります。逆にコロンビアは 2割ぐらい高いのですね。
グラフの点にマウスを乗せる(またはタップ)すると細かい数字がわかります。また、凡例をクリックすると その項目を非表示/表示の切り替えができます

コーヒーの産地というと下の地図のように赤道を挟んで南北それぞれ緯度25°内に集中しています。「コーヒーベルト」と呼ばれて いるようです。国名の前の数字は2015年の輸出額の順位です。輸出が1番多かったのはブラジル、2番 ベトナム 、3番 コロンビア そして4番目がインドネシアです。
国名かコーヒーのなまえ または 地図上の番号をクリックすると詳しい情報が表示されます。 (なぜかICOのデータにはハワイのコナコーヒーがありませんでした)


1990年からの時系列でみると、ブラジル・ベトナムは右肩上がりですが、コロンビア・インドネシアは 横這いですね。(国名の後の Aはアラビカ種、Rはロブスタ種、A/Rはアラビカ種がメインでロブスタ種も輸出、 R/Aはロブスタ種がメインでアラビカ種も輸出という意味です)
ICOのデータの単位は、thousand 60kg bagsとなっていました。たぶんコーヒーを詰める袋が60kgだったんでしょうね。

上右の円グラフでブラジル(32%)、ベトナム(18%)の2国で50%を占める事が分かります。
左のグラフ(地域別)では南アメリカ(47%)、中央アメリカ(12%)と(北米を除く)アメリカ大陸で6割近くを 占めているのが分かります。


輸入国を調べてみればどこの国の人が良くコーヒーを飲むかが分かるでしょう。そこでICOのデータをグラフにしてみました。ところが2014年以降、 EU加盟の国々はEUで纏められ個別のデータがありません。そこで2015年と2013年のデータを並べています。EUは何カ国も集まっているので輸入が一番多くて、アメリカが2番目。 日本は3番目(2015年)。EUの中が分からないので2013年のデータで推測してみましょう。(グラフにマウスを載せると(EU合計を 除いた)2013年の順位が見れます)2013年は1番がアメリカ、ドイツ、イタリア、日本と続きます。人口の多いアメリカが一番なのは当然ですね。


一人当たりの消費量は、全日本コーヒー協会がICOデータをもとに提供していたので上と同様にグラフにしてみました。これによると(2013年)ルクセンブルクが一番。グラフにマウスを当てると細かい数字が見れますが、27Kg/1人年です。北欧の人もかなりコーヒーを飲むようです。フィンランドは12Kg/1人年。コーヒー屋さんで売っている豆の袋は200gが一般的です。という事は、1か月で5袋も飲むということになります。一番のルクセンブルクはなんと11袋/月です。ちょっと考えにくい。多分輸入したコーヒー豆を缶コーヒーなどに加工して再輸出するとか?
日本は当然コーヒー輸入国です。下は全日本 コーヒー協会が財務省の貿易統計をまとめたものをグラフにしたものです。輸入量でいくとブラジル・ベトナム・コロンビアの順です。上の輸出国の構成比グラフと同じ順番(構成比はそれぞれ32・18・11%)でした。2番目3番目は日本の輸入割合がベトナム(18→23%)、コロンビア(11→15%)とやや多くなっているが特徴でしょうか。金額の比率を見ると、ブラジル(33%)、コロンビア(18%)、ベトナム(14%)となっています。ベトナムは缶コーヒーなどに使われるロブスタ種ですので、右の棒グラフにあるように単価が安いんですね。

日本国内ではどこで良く飲まれているのか調べてみましょう。

全国消費実態調査のページで 下のように指定してみてください。

2人以上の世帯で1ヶ月のコーヒーの消費支出は京都府が一番高く673円、2番目は石川県で637円、 以下栃木県、広島県、愛媛県、山口県、奈良県と続きます。 地方別でみると、近畿・中国地方が多く、沖縄・九州が低いようです。また、「コーヒー」ではなく「コーヒー飲料」で検索してみる と沖縄・北陸地方が多く 近畿地方が一番低く、逆の結果になりました。( この調査での「コーヒー飲料」の定義が分からないのですが、たぶんリキッド・コーヒー(ボトルに入ったコーヒー) とか缶コーヒーの事ではないかと思います。)。
面白いのが、都市タイプ別で見ると、大都市、中都市、人口5万以上の市の順番ですが、東京都区部はその下です。コーヒー飲料で検索 すると小都市B・町村、中都市、小都市A、人口5万以上市、大都市、東京都区部の順でした。どういう事でしょう?
因みに、全日本コーヒー協会の『コーヒーの需要動向に関する基本調査』 によると一週間あたり一人11.3杯 のコーヒーが飲まれているそうです。(内訳はインスタント:4.54 レギュラー:3.63 リキッド:1.11 缶:1.84) また、年代別では 40~59才が一番多く男性:14.74杯 女性: 13.60杯 だそうです。


 日本では、ミルで挽いたコーヒーをドリップして飲むのが一般的ですが、ヨーロッパでは深煎りに挽いたコーヒー豆を、マシンを使って高い圧力をかけたエクプレッソ(デミタスとも言う?)の方が一般的なようです。(と言うか、ヨーロッパでフツーのドリップコーヒーはあまり見かけたことがないです)
○砂糖を入れる入れない ○クリームを入れる入れない ○アメリカンみたいに薄めのコーヒーとか・・・コーヒーの飲み方は様々です。まぁ【好み】ですね。
右の飲み方の他にも、温かいコーヒーにホイップクリームを乗せたウインナコーヒー、カフェオレにシナモンを入れたシナモンコーヒー、ショウガの種子を乾燥させたカルダモンを入れたカルダモンコーヒー、コニャックを入れたカフェロワイヤル、アイリッシュウィスキーを入れたアイリッシュコーヒーなどいろいろあります。
6世紀のエチオピでカルディというヤギ飼いが、ヤギが赤い実を食べ興奮しているのを見て、コーヒーを見つけたという伝説があります。カルディ少年もコーヒーがこんなにいろんな飲み方がされるようになるとは思ってもいなかったでしょうね。


おしまい